ひとひらの日常メモ
 
あしたになれば忘れてしまう ちいさな情景
 

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帰ってきた。

家のドアを開けた瞬間に、
まるで病院での生活がウソのように思えるから不思議。

だけど、どこかに残ったままの違和感。
気が付けばこぼれているため息。

泣きたいな。

なんだかずっとその思いが離れない。

それでも泣ける理由なんてどこにも見あたらず
当然、涙なんか出るはずもない。

最愛の人のモトに帰ってきて
確かにそこは安息の地なのに。

なんなんだいったい。

こうなると自分に腹が立ってくるんだから
ホントにばかばかしくなってしまう。



9月15日(金)23:49 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

雨上がり

病院の目の前には桜のキレイな公園があって
会社のお花見で何度か来たことがあった。

 まるでホテルみたいな病院ですね。

なんて呑気に、自分とは一生縁のない所だと思いながら
まだ新しい大きな建物を見上げていたのを不意に思い出した。


早朝まで降り続いていた雨も、起き出す頃には上がり始め
退院の準備が終わる頃にはすっかり晴れていた。

16日振りに吸う外の空気はすっきりしていて、陽射しも気持ちが良く
じっとしてばかりいた割には身体も軽い。


なのにやっぱりこの感じ。
開放感とは真逆にあるような心細さ…

何も持たずに知らない街に放り出されたような
何も出来ないままに卒業の時が来てしまったかのような

わかりにくいけど、そんな感じ。


今までわたしはあの家で、どんな生活をしてたっけ?
上手く思い出せない。

これからどうやって生きて行こう?
上手く思い描けない。

だけどとりあえず 退院おめでとう



9月14日(木)11:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

最後の夜

そうとうふくざつ。


わたしはいつだって

ありがとう と さようなら が

うまくいえない。


とうぜん またあいましょう だなんてね…。



9月13日(水)22:01 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

曇り空

退院間際になって大部屋らしく同室に患者さんが入ってきた。

しゃんと背筋の伸びた短髪の、利発で上品そうなおばさま。

入院したその日(昨日)の夜には息子さんが、今日のお昼にはお友達ふたりが、
続けて娘さんがお見舞いに来ていた。
さらにその娘さんは妊婦さんだった。

目の前のベットから聞こえる、
気を使ってトーンを落としてくれてる娘さんとの会話を子守歌に
知らずに1時間も眠ってしまっていた。

そのままとめどなく眠ってしまいそうで
ベットから降り病室を出た。


幸せそうだと思った。
正しい家族の形、人との繋がり。

少なくともわたしの目にはそう映った。

そしてわたしはそうではないと…。


わたしはいつだって羨んでばかりだ。

ほんの少しの努力と勇気さえ惜しむくせに

すぐそこにあるものに手を伸ばすことさえ面倒がるくせに


羨んで、次の瞬間には諦めてしまうんだ。



9月12日(火)16:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

夜明け

早く時間が過ぎれば良いと思いながら

それでもこのままでいたいと思う。


どんな思いでいようと、どんな事情があろうと
時間はいつも正確に過ぎ、朝は必ずやって来る。


久しぶりに見た朝日はキレイで眩しくて
軽い目眩に思わずまぶたを閉じた。


退院まで あと3日。



9月11日(月)21:15 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

がらん …

大部屋なのに個室状態のこの病室。
他は結構入っているのに、ここだけなぜか一人。

退院待ちと成り下がった(?)今や、
ここには清掃の業者さんと
毎食後に看護師さんがちらりと様子を見に来てくれる程度。

誰かのお見舞や、医師や看護師さんの声、機材を運ぶ音が
すぐそこなのに遠くに聞こえて
ここだけ静かで別世界に隔離されてるみたい。

毎朝の処置も簡素なもので、一分足らずで終わってしまう。

そんな中、主治医の先生が時間を見つけては
時々病室に様子を見に来てくれるのが秘かに楽しみだったりする。

忙しい時でも、患者やお客に向かって
あんなに自然な笑顔で穏やかに話せる男の人は
滅多に見たことがない。
けっこうLove(笑)

ワイルドなスゴ腕医師より
物腰やわらかなお医者さまの方が良いなんて
わたしも歳をとったなぁ。

…なんて、すばらしき現実逃避の入院生活。
土日は先生もお休みだから来てくれないし、ホント静かだ。


あっ!
午後からダンナ(現実)が来てくれるんだった…



9月10日(日)09:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

気にしない人

入院患者に義務付けられてるリストバンド。

入院手続き後すぐに着けて貰った。
退院するまで、何処に行くにも何をするにもずっと一緒。

「僕はこういうの管理されてる感じがしてキライなので、
おイヤかも知れませんが…」そう言った医師に
「遊園地のフリーパスを思い出すのでイヤじゃないです」と答えた。

これには名前と性別、生年月日と年齢、
後はID番号とかが書かれている。

そいえば手術室に入ったら
名前と血液型を確認されるって言ってた人がいたけど
ここは名前と生年月日だったなぁ。

血液型の記載はどこにも無し。

入院して輸血の準備の必要な手術(実際は輸血はしなかったにせよ)をしたんだから
血液型が判明するかと思っていたのに
通知も本人確認も一切なかった。

やっぱり血液型って知ってなくても済んでしまう…のかな?

聞いたら教えてくれるんだろうけど、つい忘れちゃう。

この歳まで知らずに生きて来たんだもん。
せっかくだから、いつまで知らずにいられるか記録に挑戦!


って、何の自慢にもならんしね(^_^;



9月9日(土)21:46 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

ビンゴ!

突然のにわか雨の後の晴れ間。

きっと虹が出てる!

根拠のない、でも確信に近い直感。

この窓からは見えない。
ためらわずに病室を出てフロア中の窓を覗いて歩いた。

ぐるっと一周した最後の窓から見えたのは
くっきりと太く、きれいな半円を描いた虹だった。

こんなに大きくてキレイな虹、見たことあったかな。

呆然として、あっと思い急いで携帯を取りに。

だけど戻ったころにはもう薄れ始めていた。

一瞬で消えてしまっても
はかなさを感じさせないほどの強い美しさ。
写真には収めきれるはずもないよね。

今日はかみ合わないことばかりだったけど
こんなラッキーが待ってるなんて♪

かみさま ありがとう



9月9日(土)17:33 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

お食事中

「早く口からお食事が出来るようになると良いんですけどね…」

慰めるように言う看護士さんに深く頷いて見せたけれど、
最初は気持ち悪くて絶対に慣れないと思ったこの流動食を、
実は今はすっかり慣れてけっこう気に入っている。

一人暮しを始めた十年前から
毎日三食を考えなきゃいけない生活に飽きていたし
歯列矯正の経験から、
こんな時、食べたくもないものを苦労して食べるのは美味しくないし
食べられる事が余計に欲求不満になることは知っている。

だからいっそ食べられない、この方法しかない今の状態の方が
諦めもついて全くと言って良いほどストレスがたまらない。

それに準備も後片付けも簡単で、ただ胃に流し込むだけというのも
面倒くさがりのわたしにぴったりな気がする。

もちろん一週間程度の期間限定だから言えることなんだけど…。

食事時にお見舞いに来てくれたダンナが
そんなわたしの食事風景を見て
「楽しんでるねぇ」と可笑しそうに笑った。

あなたのお陰で楽しめるわたしになったのだと
そんな風に笑ってくれるからもっと楽しくなれるのだということなど
本人は少しも思いはしないんだろう。

くやしいからわたしからも、最後の最後まで言ったりはしないんだ。



9月6日(水)13:51 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理

かみさま

そしてこれがダンナがくれたお守り。

手術が成功するようにって…

この心強さと可愛さといったらない。


ダンナが神様の力を連れて来てくれたのではない。
神様がダンナの力を運んで来てくれるのだ。

誰かから貰ったお守りって、そういうものだと思えて仕方ない。



9月5日(火)14:36 | トラックバック(0) | コメント(0) | 日常 | 管理


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